コロナ禍の落ち着かない東京から書きます。
3月半ば過ぎてから急激にワガドゥグにコロナ禍の不安が広がってきた頃、我が家のコックであるセイドゥおじさんが免疫力アップのためにと作ってくれた飲み物たちです。
向かって左から、バオバブジュース、タマランジュース、そしてビサップジュースです。
白いバオバブジュースはバオバブの実の固い殻をかち割って、中身の繊維の多い白い果実部分を煮だして作ったもの。
これだけでは酸っぱいので、セイドゥおじさんは砂糖を通常よりは(わたしたちのために)少なめに入れてよく作ってくれていました。日本のカルピスと甘酒を混ぜ合わせたような味で、わたしの大好物です。
巷の店では、”pain de singe(おサルのパン)”と言われるバオバブの白い果実部分を乾燥粉末にしたものが入手できそれを水で溶いて簡単にジュースを作れますが、セイドゥおじさんの手間暇かけた、果実から作ってくれるジュースは濃厚なまろやかな口当たりで抜群のおいしさでした。
これがバオバブの乾燥果実です。
おじさんが置いた携帯の大きさから、バオバブの果実の大きさがわかるでしょう。日本人の知人が”まるで不発弾のようだ”と言っていましたっけ。
硬いバオバブの殻をかち割ってから、繊維たっぷりの乾燥した白い果実を水を張った鍋に入れて一晩ふやかします。そしてバオバブの種を取り除いてから、果実のみを煮だします。
これは、セイドゥおじさんが果実を水に浸した後、取り出してきれいに洗ってくれたバオバブの種です。
いちばん上の写真の真ん中のジュースは、tamarinの果実のジュースです。
この日、セイドゥおじさんは初めて作ってくれました。免疫力アップにとてもいいのだと説明しながら。
これは、セイドゥおじさんが長い鞘に入っているtamarinの果実を取り出して丸くまとめたものです。これを水で煮だして、タマランジュースを作ってくれました。このジュースにも砂糖を多く使っています。
ジュース3種の写真の一番右のものが、ビサップジュースです。
一般にはハイビスカスの花のつぼみを煮だして作ると思われていますが、ハイビスカスによく似た”ビサップ”の花の乾燥つぼみだということです。
町なかの店で、乾燥したビサップの花のつぼみがたくさん入ったビニル袋を見つけることができ簡単に入手できます。
これがビサップの花の乾燥つぼみです。
血のように赤いきれいな色のジュースにもやっぱりたくさんの砂糖を使いますが、ミントを入れたてさっぱり感のあるジュースに、あるいはセイドゥおじさんのようにジンジャーを入れて煮だして、さらに体に良いジュースに仕上げます。
よく作ってくれたなあ。
夫の事務所に勤務する秘書のジナボさんも欠かさずにミント入りジュースを自宅で作ってきて事務所の冷蔵庫にいつも入っていました。
ワガドゥグでもコロナ患者がカウントされ始め、セイドゥおじさんにも手洗いとマスク着用をお願いするようになってコロナ禍の不安が広まってきた頃、セイドゥおじさんが食卓に並べて用意してくれた3つのジュースです。
今も毎週火曜日に我が家のアパートに来て掃除管理を続けるセイドゥおじさん。
かれの優しさが表れる、美味しい料理を懐かしく思い出します。