大きな試練がこの一か月半の間に起こり、わたしの中で昇華するまでに時間が必要だったのでした。
試練その1:
わたしがワガドゥグに来て2度目の風邪症状が出てきた6月8日から始まった我が家の鉄格子取り付け工事。それが延々、1か月以上続きました。
かれらの仕事の遅いことと、それに加えて稚拙な作業に苛立つ工事期間でした。
その恐怖の3晩明かし事件とは・・・。
台所のベランダに出る(もともと設置されていた)ガラス入りアルミ扉を外すことから始まりました。
それを網戸枠に改造して、別に鉄枠にガラスと鉄格子を入れた扉を作って、計二枚の扉を勝手口に設置するという工事でした。
網戸枠にするためにガラスを取り外してアルミ枠だけにしてベランダに置き、そのガラスを持って、鉄扉をアトリエで作成してガラスと鉄格子をはめ込んでから今日中にここに運ぶと言い残して、大ざっぱな計測でしっかりはまる扉ができるのかなという懸念を私に与えつつ、自称職人一行は帰って行きました。
しかし、かれらが鉄扉にガラスと鉄格子をはめて現れたのは何と4日後でした。
連絡すれども、かれらはベランダに出る台所勝手口をスカスカにしたまま、4日間も扉無しで放置したのです!
わたしとボーイのおじさんは(夫は仕事で大忙し)、かれがまず段ボール箱を2つ見つけてきて、それを解体してベランダに残されたアルミ枠にセロテープではめ、足りない部分は週刊誌を破って空間を覆い、そのアルミ枠を勝手口のスカスカ空間に立てかけて、さらに隙間に週刊誌を数枚ずつ丸めて埋め込んでどうにか、空間だけは塞ぎました。
この通りです。
立て掛けただけのアルミ枠に段ボールと週刊誌を貼って勝手口を塞ぐ |
わが家のボーイさんは几帳面でしたよ。この空間塞ぎは、彼の機転でできたことです。
もちろん、この段ボール塞ぎ扉は立てかけただけだから、もう恐怖の3晩を明かす羽目に。台所にいろんな障害物を置き、リビングへの木製扉に施錠して、我が家でいちばん重いテーブルを引っ張ってきてドア前に置いてその上に椅子も置いてバリケードを作りました。(もちろん夜だけ)
その間、夫は現場事務所と我が家を往復するのみ、夜はガーガーと高いびきでしたもんね。
そしてついに4日目に鉄扉が運ばれてきたかと思いきや、サイズが大きすぎて扉設置予定の空間に入れられない。そこでかれらは、あろうことか、張ったばかりのタイルと頭上の壁をハンマーでたたいて壊し、無理やり鉄扉をはめ込みました。
「入らずば、入れてみせようホトトギス」精神を垣間見せられました。
そして、網戸を貼ったアルミ扉もどうにかはめ込み、はい、完了です、と言われた時はもう気絶寸前!
アンタが壊したタイルやかべの後始末はどうすんのぉ、鉄扉の周辺、アルミ枠の周辺の隙間はなんなのよー!!!
でも、かれらはきょとんとするばかり。
わたしが指図して、長さや幅を巻き尺で測って見取り図を描いて寸法を書き入れていき、ここにアルミの蓋を作りなさい、このアルミ枠の周りの空間や見苦しいタイル割れの部分にもまずシリコン樹脂で埋めてから同じアルミ素材で枠を加工して覆いなさい、直角部分は鋭角にカットしてこのように直角を作るのですよ・・・。
わたしはこんな指示をかれらに出しました。
自称職人のお兄さん方は神妙にわたしの指図を聞き、この見取り図をもらっていいか、これを見ながら探して加工してくるから、と出かけ、かれらはほぼわたしの(基準を押し下げて)合格点をもらいました。
驚いたことは、ここの人たちは接着剤=シリコンなのですねえ。ボンドなんかない、この白い液体でどんなものでも留められると言うのでした。
どうにか2つの扉が設置された勝手口 |
他の窓の鉄格子も似たり寄ったりの作業でした。
しっかり、鉄格子作成と溶接職人、左官とタイル貼り職人、ペンキ塗り職人と分業にはなっていましたが、長さ計測に目と指を使う彼らに、これがこの国の文化なら受け入れようという気持ちになっていたら、仏語の先生は、
「それは私たちの文化ではありません。このアパートの管理会社が工事費用を抑えようとして、安い工事職人に依頼し、さらのその下っ端を送り込んだから、技術を持たない連中が送り込まれたのです。」と。
わが家にやって来た若い青年は、見よう見まねで親方の技を習得してきたのでしょうが、学校もろくに終えていないかれらは定規の使い方すら知らなかったのでしょう。
勝手口扉の話に戻りますが、わたしの見取り図を持って探してきて作業を終えた若者二人のうちの一人はフランス語も話せませんでした。それでも一生懸命探して来て設置終了の時に見せたかれらの満足げな笑顔は良かったなあ。
それは、困難な中で吹いてきたそよ風のようでした。
これからも、良い仕事をしてくださいと、水とキャンディと少しのチップを渡すと、とても喜んで帰って行きました。(続く)
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