1年ぶりの帰国で楽しみにしていたことは、お寿司を食べることと温かい湯船に浸かることでした。
今ごろは日本だったのになあ。
その夢も露と消え・・・。
狭いシャワースペースのすぐ横にトイレ便器が接しているトイレシャワー室が2室のアパート生活で、スペースに合うバスタブを買っていいという夫の(不可能に近いような)言葉で、ワガドゥグじゅうの工具店を探し回り、やっと直径90センチの扇形バスタブを見つけました。
トイレの便器と水槽にちょこっと引っ掛かりそうだったけど、どうにかなりそうだと夫が買いに出かけたら・・・なんと、ついたてのガラス板付きでの販売しか認めないと店主が言い出しました。合わせると25万フラン。ということは日本円で約5万円です。
あと2年の滞在で、このアパートに自腹で取り付けるのはもったいないとの夫の意見で即却下されたのでした。
自宅に小さくていいからバスタブを持つという夢もこれまた露と消え・・・。
やっぱりこれしかない。
夫が買ってきたのが直径75㎝ちょっとのプラスティックのたらい!
たった6500フランぽっち。約1300円なり。
幼い頃の夏の行水を思い出します。
ごていねいにも100㎖までのメモリ付きの緑のたらい |
わたしは色にこだわりました。
夫は、道路端で売っているチョコレート色のたらいならすぐに買えると言いました。
ぜったいいやだー。
そんなゴキブリ色のたらいで行水なんてぜったいいやだー!
夫は、さらに2つ、LINEメイルで写真を送ってきました。
青色と緑色のプラスティックのたらいと、昔の給食の時に使われていたやかんと同じような金だらいでした。
もう妥協するしかない。
ということでこの緑色のプラスティックたらいが我が家にやってきました。
夫から送信されてきた店頭に置かれたプラスティックたらいたち |
昨夜、さっそく試してみました。
まず、わたしが2つあるシャワースペースで全身を洗って洗髪をしてもう一つのシャワースペースに移動して湯を溜めたプラスティックたらいに身を浸しました。
ゴクラク、ゴクラク。
久しぶりに、湯の柔らかいメラメラ、というかミョラミョラと言う優しい音を聞きながら、手で肩や首に湯をかけて。
足の先も温まり、体の芯まで温まり、身も心もほっこり。
足も体も体操座りのような恰好でゆったり伸ばすことはできませんでしたが、体も喜んでいるようでした。
この世で、湯船に浸かる習慣を持つ民族がどのくらいいるのでしょう。
湯船に浸かる幸福気分を知っている人はどのくらいいるのでしょう。
35年前のネパール暮らしでの最初の家では、20ℓ容量のインド製のギザ(湯沸し器)しか備わっていなかった上にその機械は熱湯になるほど沸かす機能はなかったから(もちろんバスタブなどあろうはずはない!)、わたしは午前中に洗髪して、午後に自分の体を洗うと同時に小さかった娘の全身を洗い、夕方に夫がシャワーを浴びる、という3段階分けでギザの湯を大切に大切に使っていたものです。それでも、最後には水になっていましたっけ。
あの時のことを思うと文句は言えません。
大家さーん!どうにか、あの扇形のバスタブを付けてくれ~い!
と思ったところにタイミングよく大家さんが現れたので、交渉してみましたが、ふふっと軽く一笑されただけでした。
昨夜の行水の後、わたしは気持ちよく眠ってしまい、夫がその後、湯船に浸かり、体を洗って、湯を少しずつ流して(でないと、細い排水管だから湯が溢れますから。)たらいを洗って壁に掛けたということです。
感謝、感謝のワガドゥグでの初行水でした。
良かったですね!
返信削除寛子さんの気持ちの良さそうな様子が、よーく伝わってきました。
はい!久しぶりに湯船に浸かれて至福の時でした。たらいの行水でしあわせ~と感じられるって庶民の夫婦だねえ、などと笑いましたけどね。
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