2019年9月21日土曜日

満月の中に見えるもの~アフリカ編

9月13日は、日本では”中秋の名月”でした。
今でも日本で、お団子やすすきを供えてお月見を楽しむ家庭がどのくらいあるのでしょうか。

今月半ばに、絵本屋ブログのほうに、世界の「満月の中に見えるもの」について書きましたが、この前、30年近く前に私たち家族が滞在した中央アフリカ出身の30歳代の男性が、代々伝わる、祖父母から聴いたというお月さまの話を披露してくれましたので、こちらのブルキナ通信のほうで、「満月の中に見えるもの~アフリカ編」としてまとめてみようと思います。




わたしは毎週水曜日に夫の事務所を訪ねて秘書の女性にブルキナファソに伝わる話を聴いています。

あるとき、この国の一番大きな部族、モシ族に属するこの女性に、月の中に何が見えると思ってるのかと尋ねました。
かのじょは、満月の中に我が子におっぱいを含ませる母親がいると言い伝えられているのだとこたえました。

以前暮らしたコンゴ民主共和国のキンシャサで、当時、法学部に在籍して日本語も学んでいた男子学生に訊いたところ、かれは、満月の中に子どもを肩に載せている母親がいると言いました。

また、トアレグ族でマリ共和国出身の女性からは、満月の中におばあさんが繕い物をしている姿を見ると言うのです。
遊牧民族のかれらの住居であるテントの破れを繕っているのでしょうか。かれらの生活背景を感じました。

そんな月にまつわる話をわたしたちがワガドゥグの事務所でしていたことを、一人の技術者の男性が聞いていたのでしょう。かれは、学生としてブルキナファソに渡るまで、中央アフリカで生まれ育ってきた30代の男性で、2人の子どもの父親でもあります。わたしは、今週の水曜日に事務所を訪ねたときに、中央アフリカでは満月の中に何が見えると言い伝えられているのかとかれに尋ねました。
かれは、満を持したようににっこり笑って話し始めました。

ある日、一人の女性が背中に赤ん坊を背負い、頭に畑からの収穫物の入った籠を載せて、犬を引っ張って、夕暮れ時に畑仕事を終えて家に帰っていました。彼女は、畑で収穫作業をする間、作物を他の家畜から守るために犬をいつも連れて行くのでした。
この日も、夫は、いつものように畑から帰ってくる妻と子どもを家で待っていましたが、妻も子どもも犬も帰ってきませんでした。
夫は、あちこち探しまわりましたが、とうとう見つけることができず、長い時間が過ぎていきました。
そうして、ある晩、ふっと満月を見上げると、夫はそこに行方の分からなくなっていた妻の姿を見つけたのです。子どもを背負って、頭に籠を載せて、犬を連れた妻がまさしく月にいたのです。
夫には、妻も子どもも月に行ってしまったのだと思えました。
それから、中央アフリカの人たちは、月の中に、頭に籠を載せ、背中に赤ん坊を背負い、犬を連れた一人の女性の姿を見るようになった、ということです。


わたしがアフリカで月の話を聞いたのは、まだ4地域でしかありませんが、どの話も女性が中心となっています。
どれも興味深い話です。
アフリカにはいったい、どんな月の話が存在するのでしょう。

ふっと思い出したのが、日本の昔話「竹取物語」です。
月に戻って行ったかぐや姫の話をもう一度読んでみたくなりました。


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