2022年1月17日月曜日

夫の新型コロナ感染から1週間経過

 夫が先週の土曜日の昼前に発熱してから、1週間が経ちました。


自宅と同じ地区にある病院に行ったのは土曜日の午後でしたが、診療を受けることができたものの、夫の受けた検査はデング熱とマラリアの検査のみ。解熱剤と抗生剤、副腎皮質ホルモン剤(?)、そしてビタミン剤の処方せんをもらって、薬を買って夫は帰ってきました。
デング熱とマラリアの検査で陰性だと判定されたのは夜になってからのことでした。

わたしはこの国の医療事情を憂え、不安になってしまいました。
この国の医師たちの頭にさえも、一般庶民と同じように、"covid-19",新型コロナというウィルス疾患が存在していないのか、と絶望したのです。
そして、翌日、PCR検査を受けられる施設へ行って、新型コロナに罹患したということを確実にするべきだと思いました。もちろん、土曜日の高熱発症後に、自宅で行ったコロナ抗原簡易検査(鼻の粘液採取の型)ではっきり陽性と出ていたのですが。
夫が受けたPCR検査でもやはり新型コロナ陽性でした。(コロナ抗原簡易検査のほうが正確な結果を得られると言われているそうです。)

ブルキナファソの病院の入院施設は衛生面で信用度が低いと考えて、自宅療養にしようと決めました。
幸いにも、同居者はわたしだけで、完全隔離できるトイレ、シャワー付きの部屋がもう一部屋あったのです。

シンガポールに赴任中の息子から、シンガポールでは新型コロナウィルス罹患者は自宅療養で過ごすのが当たり前だという言葉が背中を押しました。そしてすぐに、息子が自宅療養時の家族の過ごし方、というファイルを送ってくれました。
それからすぐ、他国に駐在するわたしたち夫婦の友人の医師にメイルで問い合わせました。
友人の医師の提案ですぐにワッツアップで繋がり、画面を通してアドバイスをもらえたのはものすごい安心感をもらえました。


新型コロナは、治療薬が確定していないと考えて、発熱したら解熱剤をのむこと。同じ解熱剤をのむこと。
水分を十分すぎるくらい取ること。ポカリスウェットのようなものが良い。
肺のレントゲン、CT撮影を行える病院を探すこと。
緊急時に備えて、酸素吸入の設備のある病院は必須。
緊急輸送時にスムーズにいくために、夫の加入する保険会社に直接電話して、逐一状況を知らせておくこと。保険会社のほうで現地の信頼のおける病院を探してくれるはずだとも友人の医師から言われました。

熱は日曜日、月曜日と解熱剤を処方通りにのんでいたら、36℃台に落ち着きました。でも、解熱剤を止めるとすぐに38℃台に上昇しました。さらに火曜日夜に指で測る酸素飽和度が93%になっていました。その数値を友人の医師の伝えるとすぐに病院に行くようにと指示されました。(酸素飽和度の正常値は96%以上。右手人差しに挟んで30秒ほど待ち、一番良い数値を記録する。一般的に94%以下になると酸素投与が必要だとのことです。)
その間、もたもたしていたわたしは病院探しも保険会社に連絡することもしていませんでした。


こちらの日本人の友人に尋ねると、CMI病院が良いのではないかと電話番号を教えてくれ、友人の連絡で病院に行くことができました。夫の運転手も夜にもかかわらず、バイクを飛ばして我が家まで来てくれました。病院では医師がロビーまで出てきてくれてスムーズに診察室に通され、問診を受けました。
夫は疲れ切っていました。医師はてきぱきと処置をし、診察室は明るく衛生的で、機械も新しいものが入っています。カルテも電子カルテのシステムなっていました。病院では体温38℃、酸素飽和度96%。
病室は満床だけどICU室にベッドを入れたから、一晩、点滴を受けるようにと言われ、明朝8時に夫を迎えに来るようにと言われて、わたしだけ帰宅したのがもう夜中になっていました。
それから、友人の医師、こちらの友人に報告し就寝。翌朝、8時に病院に着いたのですが、夫は2本目の点滴に入っていました。
昨夜とは違う医師が夫の容態を説明してくれて、数値的には問題ないが、CT撮影で肺の様子を見ておきましょうということで病院の救急車に乗せられて(CMI病院内にはレントゲン、CT撮影の機械は置いてなく、別の場所に撮影室があった。)、点滴を受けながら移動。わたしも同乗するように言われて車で7,8分の撮影室まで運ばれました。救急車もしっかりして、とても衛生的で安心しました。
夫の入院は24時間続いて、最後の点滴が終わって帰宅したのは、入院翌日の夜になっていました。

その間、わたしは病院の待合室で夫を待っている間に頭痛が激しくなって自宅に戻って少しベッドで休養を取ったのですが、わたしまで発熱して、低体温症のわたしが数年ぶりに38℃を超えていました。ためらわずに病院に電話したら、すぐに来院するようにと言われたのです。病室では体温37.8℃。酸素飽和度97%。わたしもすぐに検査室でデング熱、マラリア、コロナ抗原簡易検査の3種類の検査を受けました。ああこの病院では、コロナと言う病気の存在を認めてくれている!、と大げさでなく、心から安心したのでした。
2,3時間で結果が出て、すべて陰性と言われたときは拍子抜けでした。
発熱したときは、やっぱりわたしも新型コロナウィルスに感染していたのだと覚悟したのですが・・・。

入院2日目の夕方には夫のCTスキャンの結果が出ていてデータを画像とCDでもらえました。医師の説明では。肺に10パーセントのダメージはあるが問題はないという説明でした。2日後にまた二人で診察に来るようにと医師に言われ、点滴を終えた夫と共に夜遅くに帰宅が許されました。

帰宅したときはお互いにくたくたで、そのまま朝まで熟睡。不思議なことに、翌日はわたしは平熱に戻っていたのです。あの発熱はいったい何だったのでしょう。
帰宅途中に車内から見えたクルバ地区の大きな電灯クリスマスツリーのイルミネーションがわたしの心をほぐしてくれました。病院で緊張しまくっていたのでした。




夫は、点滴を受けたことで、体力がかなり戻っていて、寝室にテーブルを持ち込んでパソコンを置いて、早速仕事を始めていました。プロジェクトの工期も終了間近で仕事山積なのはわかりますが、発熱すると解熱剤をのんで寝て、熱が下がるとまたパソコンに向かう、の繰り返しだったように思います。

そんなどたばたした夫の発症から5日間が過ぎ、14日、金曜日に再度CMI病院へ。
診察した医師は毎回違っていましたが、パソコンに保存されたカルテでわたしたちの状態はしっかり把握されていて、それにも安心しました。二人とも、体温、酸素飽和度、血圧を測り、胸の音を確認し、問診のあと、その日も二人でコロナ抗原検査を受けました。
わたしは陰性。夫は、相変わらず陽性でした。
この日の医師の説明がいちばんていねいで、夫のCTスキャンの画像ではダメージは10%未満(!)と思われ、問題は全くなし。胸の音もきれいだ、とのこと。発熱したら解熱剤を服用すること。また、異状を感じたらすぐに病院の緊急コールに連絡して来院のこと、ここは24時間、医師が対応しているという指示をもらって安心しました。
次の来院は18日(火曜日)と言うことで帰宅したのでした。
夫の発症から10日間は病状の急変に気を付けること、わたしの感染も十分に考慮して注意して過ごすことを、友人の日本人医師からもアドバイスを受けました。

CMI病院に変えてよかった点は、
・電子カルテになっているから情報がスムーズに他の医師に伝わる。
・発熱して、即座にマラリア、デング熱、一般検査の血液検査、そして、鼻の粘膜を採取してコロナ抗原検査をしてくれ、一般血液検査以外は2時間ほどですぐに結果が分かる。
・24時間対応で医師が常駐している。
・酸素ボンベがたくさん保管されて、呼吸器設備がある。
・レントゲン撮影、CIスキャンの設備がある。(検査必要と判断されれば、病院の設備の整った救急車で搬送してくれる。)

建物は、普通の大きな立派な家屋といった造りで、病室が2階に5室しかなく、受け入れ入院患者数は7人だと院内の病院案内に書かれていました。(小規模の入院設備だから、病床が満室だというのは理解できますが、実際にコロナ患者が多いという話でした。)
門扉を入ったところからとても清潔で、医師や看護師、検査技師はもちろん、受付会計の人たちもとても親切でした。
夫が入院した24時間で出された食事も美味しかったそうです。

2年前、わたしが参加していたワガドゥグ国際女性の会(CLIF)で、暮らしに必要な市内案内ツアーがあったとき、ここの病院を見学したことを思い出します。説明はよく聞き取れなかったけど、この病院はもともとフランス大使館付属の医療施設だったのが始まりで、今は一般にも開放していると言っていたような・・・です。
だから、フランス人らしい人を多く見かけました。また、アフリカの人でも富裕層でないとこの病院を利用できないのだろうと思いました。わたしたち外国人は海外障害保険に加入していれば安心ですが、ここに庶民の抱える医療事情を感じてしまいました。


アフリカなどで、十分な医療が期待できない国に滞在していて病気にかかったとき、まずは安心して診療を任せられる医療機関を見つけておくことと、信頼置ける友人関係を築いておくこと、できたら、日本人医師と繋がっておくこと、そして、海外医療傷害保険に加入しておくこと。また、体温計、酸素飽和度測定器の準備も必要なだあと痛感しました。
これらのことはとても大切なことだと思います。
実際に、この隔離期間中、必要不可欠な酸素飽和度の測定器を貸していただいたり(わたしたちは持ってきていなかった)、差し入れをいただいたり、多くのことで友人たちに助けられました。
そして、夫の運転手には夜遅くに自宅に来てもらったり、帰宅が夜中になったり、いやな顔一つせずに緊急時にはいつでも電話してくれと言ってくれました。


そして、現地の一般の医療機関にかかる場合は、それぞれの国民性、文化の違いも考えてしっかり自己管理で判断するべきだと感じます。
一般庶民がかかる病院では、発熱したことで受ける検査は、多分、マラリアとデング熱だけだと思われます。実際に、その二つの検査をして二つとも陰性が確認されれば、単なる風邪として処方箋が出されたと聞きました。幸いにも病状が回復して熱が下がれば、もう自由に動き回れるということです。濃厚接触者という概念も持ち合わせていないと思います。
コロナの症状が軽症で済んでも、ウィルスを持ったまま移動すれば、コロナウイルスは拡散していきます。

ここの人たちは町なかで未だにマスクをしている人は皆無です。
(もちろん、夫たちのプロジェクトの事務所内ではマスク着用を義務付けています。)
この国の多くの人々は、コロナはもう終わった、この国にコロナは存在しないと考えているように感じます。
コロナ、コロナとなぜそんなに騒ぐんだ?単なるインフルエンザや風邪と同じではないか、と豪語するブルキナファソの男性もいました。
これから、ブルキナファソは乾季がさらに進んで、サハラ砂漠からの風が吹き荒れて砂漠の粉塵が町じゅうを覆ってきます。
わたしが最初に過ごした3月の1か月間、喉をやられ、ぜんそくのような咳が止まらずに全身が筋肉痛になってしまったことを思い出します。
喉や気管支をやられる気候に移っていきます。


コロナの存在を否定するブルキナファソの人たちは、援助で入ってきたコロナワクチンなのに、ほとんどの庶民が未接種だということです。
アフリカ全体が同じような状況にあるとは断定できません。

でも、わたしは、これからのアフリカのコロナ感染状況を憂えてしまうのでした。

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